相手から「はい」(Yes.)と言う答えを簡単に引き出すことができるとされているイエスセット話法(yes set method)と言うテクニックをご紹介します。
このトークテクニックは「断られないテクニック」としていろんなところで紹介されている有名なテクニックなのでご存知の方も多いかもしれませんね。
だがしかし!イエスセットは実は使えないテクニックなのです!!
イエスセットの原理:一貫性の法則
このイエスセットと言うテクニックは一貫性の法則を利用しています。
一貫線の法則とは「人は何度も繰り返し同意し続けていると反論しにくくなる」と言う法則のことです。
イエスセット話法はこの一貫性の法則を利用して相手から「はい」(Yes.)と言う返答を引き出す話法です。
イエスセットの使い方
それではイエスセットの使い方を解説します。
まず、相手が確実に同意する質問や提案を3つか4つ用意します。
質問と言っても疑問形にする必要はなく
夏は暑いよね
今日はいい天気だね
のように、相手が「そうですね」と同意する内容、「うん」と頷くような内容であればOKです。
そして、最後にあなたが相手に同意させたい提案をします。
すると、3回も4回も同意し続けた後なのであなたの提案を否定しにくくなり「はい」(Yes.)という言葉を簡単に引き出すことができます。
イエスセットの例
イエスセットを使った会話例を見てみましょう。
春は何だか眠くなるよね
そうですね、ついウトウトしてしちゃいますよね
暖かくなるのはいいけど花粉症の〇〇さんにはつらい季節なのかな
そうなんですよねぇ…、花粉さえ無ければいい季節なんですけど
そうえいば花粉症の薬って眠くなるんだってね
そうなんですよ、それが困るんですよ
それじゃあさ、花粉症に効く温泉があるんだけど今度一緒に行ってみない?
はい!ぜひ行きたいです!
こんな感じにイエスセットを使えばあなたの目的である温泉旅行にすんなりと誘い出すことができます。
イエスセット話法の真実
流れでやり方の例まであげてしまいましたが「こんなに上手くいくかよ!」と憤慨なされている方もいらっしゃるかもしれませんね。
それは無理もなくて実際こんなに行きませんしましてやうまくことは滅多にないんですよねぇ…、その辺りを解説します
イエスセットは効果がわかりにくい
先ほどのイエスセットの例文ですがあれはどれくらいの確率でうまくいくと思いますか?
ほとんどの方は先の例文を読んだ時
そんなにうまくいくわけがない!
と思われたのではないでしょうか?
僕もそう思います
そうなんです。試してみるまでもなくこんなに簡単に行くわけがありません。
けれど元から二人が一緒に旅行にいく関係性だったら恐らくうまくいくはずですよね。
でも、もとからそのような関係性があるならイエスセットなんてめんどうな手順を踏ますに
花粉症に効く温泉みつけんたんだけど一緒に行こうよ
といきなり誘えば済みますよね。
それでは、職場の同僚という間柄だったらどうでしょう?
言うまでもなくうまくいきませんよね。
何が言いたいかと言うとイエスセットを成功させるためにはかなりのラポール(信頼関係)が必要だということです。成否は小手先のテクニックではどうにもならずラポールに依るところが大きいという訳です。
つまりイエスセットは確率90%の事象を95%に上げたり0%の事象を5%に上げる程度で、50%のものを90%に上げることはとてもじゃないけど不可能なんです。
イエスセットの効果はこの程度です。
イエスセット話法はNLP本に必ず紹介されているけれど
NLPは脳の取扱説明書とも言われ人に直接語りかけ、あるいは非言語(ノンバーバル)な方法でその人を意のままに操るなどと紹介されています。
何だか凄そうなNLPですが学術的には信頼性はありませんし、心理学と紹介されていることもありますが心理学でもなんでもありません。NLPは人を操ることに巧みだった宗教家、医者、詐欺師、偉人の振る舞いや言動をさも科学であるかのようにまとめたものに過ぎません。
そんな怪しいNLPですが書籍やビデオも膨大な数が出版されていて、必ずと言っていいほどイエスセット話法も紹介されています。NLP本の中ではイエスセットは「絶対にYesと言わせる方法」とか「Noと言わせない方法」などと紹介されています。
先の例文を見てお分かりかと思いますがイエスセットにそんな強力な効果は絶対にありません。効果があったような気がしないでもないくらいの効果しかありません。
ピザって10回言ってみて
「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」
(ひじを指差して)「じゃあここは?」
「ひざ!」
「ひじだよー」
40年位前でしょうか? こんなの流行りましたよね。
これは一貫性ではなく口の動きに癖をつけて勢い(慣性)で言い間違いを誘発させる遊びですが、イエスセット話法もこれと同じことで勢いと流れで相手に「そうだね」と答えさせているに過ぎません。
イエスと何度も言っていると断りにくい雰囲気になるとか同意し続けていると脳に安心感が生まれるとかNLPでは説明されているますが、そんな高尚なものではなくただの勢いと癖です。
例えば「うん」、「うん」と相手に同意の相槌を連続でさせて、最後に「それじゃエッチしよう」→「うん」となることはあるかもしれませんが、相手がうっかり同意してしまったのに気づけば次の瞬間相手は取り消してきます。
うん、て言っちゃったし1回はエッチしないと悪いかな
なんて絶対にありませんよね。
イエスセットは効果が怪しいのに使うのは意外と難しい
僕の説明では3、4回同意する質問を続けるでしたが、NLP本のなかには10回連続で「Yes」と言わせろなんてものもありました。
意図した方向へ話しを誘導しつつ自然な会話に見せかけながら10回も連続でYesと言わせ続けるなんてできますか?
やってみるとわかるのですがこれはかなり難しいです。
途中で相手が他の話題へ方向転換するザラに起こりますし、途中で「そうかな?」とか「ううん(No.)」と答えることもありますよね。
そうしたら最初からやり直しとなるわけですが、別の質問を考えて再トライする気力がある人なんているんでしょうか?
これが絶対とは言わないまでも最後の提案でYesと答えてくれる確率が50%上がるのであれば頑張ってやってみる価値があるのですが、50%なんて言う数字はとても望めないので僕なら諦めますね。
イエスセットの使いみち
なぜわざわざイエスセットを紹介したのかと思われるほど後半で否定していますが、僕は全く効果がないと言っているわけではありません。
効果があったような気がしないでもない程度の効果は僕もあると思います。
そんな僕が提案するイエスセットの使い道は
です。
あまり使える場面もないと思いますが、気づい時に使ってみるとうまくいく確率が少し上がるかもしれませんよ? もちろんなんの保証もしませんけどね。
相手に断られたくないならイエスセットよりもダブルバインをおすすめします
ダブルバインドの方が簡単で効果が高いのでの是非記事を読んでみてください!
ノーセット話法
ちなみにイエスセット話法とは逆にNo.と言わせ続けることによって相手にあなたが否定させたいことを相手に否定させるという「ノーセット話法」というのもあります。
やり方はイエスセットと同じ手順で、相手が確実に否定する話題を3つか4つ用意して、最後にあなたが相手に否定させたい内容の話を話すというもので、イエスセットのイエスをノーに変えただけのものです。
こちらの話法もほぼ同様な方法なので効果はかなり限定的かつ怪しいですけどね。